今夜、夫婦になります~俺様ドクターと極上な政略結婚~
「結婚式の前日まで、意地悪言うんですね?」
赤い顔で抗議してくる姿がいじらしい。
怜士は「ごめん」と謝って、沙帆の柔らかい唇をそっと塞いだ。
沙帆は、怜士がそれまで知り合い、関係した女には見ないタイプだった。
初めこそ、からかい半分距離を詰めてみたりもした。
それが、中毒性のある新鮮な反応を返されたもので、気付けば怜士は癖になったように沙帆に触れていた。
絹のような長い髪。白くきめの細かい肌。柔らかく甘い唇。
黒目がちな大きな目が困って揺れるのを見ると、もっと困らせたくなってしまう。
「……っ、怜士さん」
「何……?」
「紅茶が……冷めます」
唇を解放すると、沙帆は待ってとばかりに怜士の腕に手を置き、待ちぼうけをくらうカップへと向き直る。
そんな沙帆の様子に微笑み、怜士もカップを手に取った。