今夜、夫婦になります~俺様ドクターと極上な政略結婚~


もちろん、沙帆が手伝いたいと言うことに対し、吉永は毎度お断りの姿勢を見せた。

雇い主のお嬢様に、頼まれている業務を一緒にやってもらっているなんて、クビが飛びかねない。常識的な考えだ。

しかし、沙帆は沙帆で譲らなかった。

頼み込んで教えてもらう、やらせてもらう。

いつしか熱心な沙帆に吉永も根負けし、自分の持つ知識を沙帆に分け与えていった。

掃除は気持ちいい。

汚れていたものが綺麗になるのは、なんとも気分がいい。

そんな想いは沙帆の成長と共に膨らんで、自分も吉永のように掃除を通して人のために働きたいと強く思うようになった。

医師の道を選ばず、のちにクリーンスタッフ業に就きたいと話した沙帆に、両親はもちろんいい顔はしなかった。

未だに、早く仕事を辞めて結婚したらどうなのか、などと言ってくる。

沙帆も沙帆なら、両親も両親。

お互い頑固で粘り強いところは、やっぱり親子なのだろう。

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