今夜、夫婦になります~俺様ドクターと極上な政略結婚~


三メートルほどの高さがあるガラス窓の上、サッシがあり、その更に上にあるガラス窓が開閉可能な造りになっている。


「わかりました。チェックして、清掃しておきます」


沙帆が返答をしたタイミングで、共に派遣されてきた仲間の男性スタッフが「こっちお願いしてもいいっすか?」と、アルミ製の脚立ハシゴを運んできた。


「ありがとうございます。大丈夫です、ここは椎野さんと二人でやるんで」


ハシゴを広げて組み終え「お願いしまーす」と男性スタッフは立ち去っていく。

案内してくれた病院職員も「では、お願いします」と一礼してきた道を戻っていった。


「――よし、始めようか」

「ですね。あっ、沙帆先輩、私が上がりますよ!」


早速ハシゴに足をかけた沙帆に、花梨が慌てて声をかける。


「結構高いから私が上がるよ。花梨ちゃんが落ちたりでもしたら」

「そんなこと言ったら、沙帆先輩もですから!」

「私は大丈夫だって、慣れてるから平気! 下のガラスの方、先に始めておいてもらえる?」


花梨は「わかりましたー、気をつけてくださいねー」と渋々といった様子で窓ガラスの清掃を始めた。

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