今夜、夫婦になります~俺様ドクターと極上な政略結婚~
「話なんて、どうせまたくだらないお見合い話に決まってるもん……」
両手足を放り出してソファーの背もたれに頭を預けた沙帆は、天井でクルクルと回るシーリングファンライトをぼんやりと見つめる。
両親が時間を作って話そうと連絡をしてくるときは、決まってお見合いを持ち帰ってきたときだ。
ここ最近は「お付き合いしている人がいるから無理」と断り続けていたけれど、昨日母親――千華子(ちかこ)から「彼氏とは順調なの?」と突然きた連絡に、沙帆は言葉に詰まってしまった。
するとその反応に即「いい話があるから、明日会いましょう」と弾んだ声で約束を取り付けられてしまったのだ。
そんなわけで沙帆は今日、仕事後渋々真っすぐと自宅へ帰宅した。
「お二人共、沙帆さんにいい結婚をと、頭を悩ませていましたよ」
「嘘……どうせ病院のこととか、そんなことに頭がいっぱいで、私の結婚だってそのシナリオの一部なんだから」