今夜、夫婦になります~俺様ドクターと極上な政略結婚~
自分の父親や兄を挙げられても正直ピンとこない。
だけど、これまで付き合った医師を生業とする男二人はどうしようもなかった。
医者というだけで箔がついてモテるのはわかるが、女にだらしないのはやっぱりいただけない。
「医者なんて、暇ならチャラチャラしてるし、仕事が忙しいなら身を固めても家庭を顧みれない。結婚なんかしても、絶対幸せになんかなれないもん」
「それはまぁ、すごい言われようですね」
「そう? 私の分析はなかなか的確だと思うけどな」
「では、そうでなければ結婚も考える、ということです?」
吉永はトレーに載せたティーセットを、沙帆が掛けるソファーの前に設置されたローテーブルへと運んでくる。
沙帆は預けていた背中を起こして吉永を見上げた。
「そうでなければ、って?」
「チャラチャラしてなくて真面目、忙しくても奥様やお子様を大切にされる方という意味です」