今夜、夫婦になります~俺様ドクターと極上な政略結婚~
両親が揃って話があるなんて、内容なんて決まりきっているが敢えて聞いてみる。
千華子はパッと表情を明るくさせ、ソファーに浅く掛けた身を乗り出した。
「あら、もしかして今回は乗り気? 彼氏とお別れして、お見合いする気になったのかしら」
(やっぱりそうか……)
「……別にそういうことじゃないけど、なんか、流されたというか……」
電話では沙帆が言葉に詰まると、千華子は待っていましたと言わんばかりに「明日会いましょう」と言った。
それはもう一方的な締め方で、沙帆の返事を聞く空気を発していなかった。
「まぁいいわ、あなたが話を聞くっていうだけでも、久しぶりのことだもの! ねぇ、あなた」
千華子に話を振られた良嗣は、穏やかな表情で「そうだな」と頷いた。
「今までなかなか気乗りしなかったようだけど、今度の話の相手はすごくいい。むしろ、勿体ないくらいの縁談だ」