今夜、夫婦になります~俺様ドクターと極上な政略結婚~
「いい、沙帆? 私たちはあなたの幸せを誰よりも願って、こうしていいお相手を探してきてるのよ? わかるでしょう? 誰もあなたが不幸せになるような縁談持ってこないわよ」
「それは、わかるけど……」
「じゃ、話は進めておくから、日取りが決まったらまた知らせるわ。その日に、着付けとヘアメイクも手配しておくから」
いつものことだか、千華子はあっという間に話をまとめ、煮え切らない沙帆のことは気にも留めない。
話をまとめて、ひとりスッキリした顔をしている。
となりの良嗣も満足そうに頷き、ティーカップを手に取った。
「わかった……。でも、行くからって、お断りする可能性大だからね、今まで通り……」
釘をさすような沙帆の言葉に、千華子も良嗣も揃って空返事だった。
沙帆がお見合いに顔を出してくれればそれでいい。
そんな調子の両親に沙帆は小さくため息をついた。