今夜、夫婦になります~俺様ドクターと極上な政略結婚~
お互いに気持ちのいい結婚
お弁当箱の中からミニトマトを箸で摘み、口へ運ぼうと持ち上げたところでコロリと落っことしてしまう。
運良くお弁当箱の中に落下したけど、つい深いため息をついてしまった。
「沙帆先輩? 大丈夫です?」
となりでサンドイッチを食べる花梨が、手を止めて沙帆を見つめる。
「ああ、うん、ごめん、大丈夫……」
仕事がひと段落し、お昼の時間。
今日も新しく配属された関東医科大学附属病院へと訪れている。
病院内の比較的誰の邪魔にもならない中庭の片隅で、花梨と二人きりのランチタイム中だ。
「もし、体調悪かったらすぐ言ってくださいね」
「ううん、体調とかは全然大丈夫」
「じゃあ、何か悩み事ですか?」
弱々しくも笑みを浮かべながら、沙帆は横に首を振る。
取り繕いつつも、頭の中はこの間のお見合いから怜士のことがグルグルしていた。