今夜、夫婦になります~俺様ドクターと極上な政略結婚~
あの日は「いいお返事を期待しています」と、怜士の両親に見送られた。
怜士本人は感じのいい微笑を浮かべながらも、沙帆にだけは意味深に笑みを深めて見せた。
良嗣と千華子は口を揃えて、怜士との結婚を決めてほしいと言い、沙帆は顔を合わせるたびに説得を受けた。
だけど、いくら考えても怜士と婚約するという答えは出ない。
『結婚したからと言って、俺のことを好いてもらわなくても構わない。表向きは夫婦。でも、おたくは今まで通り掃除の仕事でもして、好きに生きればいい。もし好きな男が出来れば、その関係も認知する』
常識では考えられない、結婚のルールを提示された。
籍は入れて、事実上夫婦にはなる。
しかし、これまでと変わらないライフスタイルを送っていいと言っていた。
しかも、自分に特別な感情を抱くこともしなくていいし、誰かを好きになったら認めるとまで言っていた。
要するに、夫婦として署名上の契約するけれど、実際は今と変わらぬ生活をしていいということだ。