からめる小指  ~愛し合う思い~
12月に入り、本格的にクリスマス一色になる。

去年は千尋と二人で、昼間に大きなツリーを見に行った。

クリスマスとイブは、樹達とパーティーしたり

俺と二人でゆっくり手作りのご飯を食べて過ごした。

姉ちゃん以外とクリスマスが初めてだった千尋は

嬉しさにおおはしゃぎだった。

姉ちゃんと二人だと、ケーキも小さい物しか買ったことがなかったみたいで……

丸いケーキに1日中テンションが上がり

何度も冷蔵庫を開けて覗いていた。

今年は、俺があまりにも忙しくて

ツリーを見に行く事も、一緒に計画をたてることも出来なくて………

淋しい思いをさせてる。

おまけに……ほとんど会ってないから。

やっと見つけたやりたいことも……潰してしまったたし…………。

バイトを辞めて、淋しい思いが戻ってないか気になる。

はぁちゃんと一緒に過ごしてはいるらしいけど。

あの日から、隣の電気は毎日点いているから

『ただいま』と顔を出すことも出来るのに

行動出来ない俺がいる。

千尋が大切過ぎて………悩んでる。

まだ、高校生なんだよな。

箸が転げても笑うと言われてる、この年頃に………

涙と我慢ばかりさせる大人達。

その大人の中に………俺もいる。

幸せにしたい。

幸せだと感じさせてやりたい。

そう思うことがエゴだったのかもしれない。

樹のように

『一緒に幸せになりたい。』

『遥が幸せを見つけたら、見守りたい。』という姿勢でないと

千尋は息が詰まってしまうのかも…………。

グルグルと、答えの出ない思いを巡らせ………

今日も隣のドアを開けることが出来なかった。
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