からめる小指  ~愛し合う思い~
「メリークリスマス!」

今朝早くメールを送ったはずなのに、千尋はやって来た。

「……………悪い。帰ってくれる?
ホントに無理だから…………………。」

「…………………どうして??……………」

「はぁ~っ……………だから、メール送ったでしょう?
悪いとは思ってるけど………ホントに無理。
帰って……………お願いします。」

泣き出す千尋を前に、一歩も譲らない俺。

「どうして…………頼ってくれないの。」

ホント…………勘弁してよぅ。

俺だって辛いんだから………………。

千尋の言いたいこともよく分かるし、ありがたいと思ってる。

でも………これが普通の体調不良だったら……俺だって甘えるよ。

昔付き合ってた彼女に、看病らしき行為をしてもらったことはあるけど……

こんなに心配してくれる人は、お袋ですらなかったから。

お粥を作ってもらって、着替えにドキドキして……なんて

楽しそうなシュチュエーションだから。

だけど、今回のはマズイ。

だって………インフルエンザだから。

昨日、千尋達が帰ってから

急にゾクゾクし始めた。

風邪か?と思いパジャマの上に羽織ったくらいから節々が痛くなり

ヤバイかと思った時には、時すでに遅し………というかんじで

どんどん熱が上がってきた。

その辺りからは朦朧として、朝イチで樹に電話を入れて

学校を休んで病院に行った。

結果は予想通りのインフルエンザ。

熱も39度まで上がり、電話をする気力がない俺は

直ぐに千尋にメールした。

うつすととマズイから、今日はキャンセル。

お見舞いも看病もいらないと。

申し訳ない気持ちでいっぱいだったけど……

沢山メールをする元気もなかった。

それでも千尋には俺の気持ちは通じてるだろうと思っていたのに………

来てしまった。

心配しての行動だとは思うけど……

今日は来て欲しくなかった。

「尋、悪いけど本当に帰って。
尋にうつすより辛いことはないから。
尋がいると気になって寝れない。」

可哀想だとは思うけど……少しキツメに言ってみた。
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