からめる小指  ~愛し合う思い~
三学期

バレンタイン

「明けましておめでとう!」

「ねぇ、何処かに行った?」

「お土産あるよ。」

キャッキャと騒がしい門前。

新学期はいつも賑やかだが、特に三学期を迎える朝は凄い。

クラスに慣れ、友達ともかなり仲良くなった事と

お金持ちのお嬢様らしく、海外旅行に行って正月を過ごしてる生徒が

多くいるからだ。

特に3年生は、夏休みを受験勉強に使っていた子が

進路が決まって、楽しんだためだ。

「おはよう。
おしゃべりも良いけど、早く教室に行きなさい。
後、20分で始業式が始まりますよ。」

俺も今日からまた、教師の言葉使いが始まる。

「は~い。」

「先生は、どちらに行かれましたか?」

「……………何処にも行ってません。
インフルエンザで寝てました。」

「ええっ!可哀想に。」

「大変でしたね。
お大事にして下さい。」

「あっ!でも、彼女さんに看病してもらったとか。」

「キャッ!」

相変わらず賑やかな女の子達だ。

「私の話しより、早く行かないと遅くなりますよ。」

「あっ、そうだった。」

「行こう。」

バタバタと走る生徒達を見守っていると

珍しく遅い登校の千尋に挨拶された。

「先生、おはようございます。」

「伊藤さん、おはようございます。
今日は、ぎりぎりですね。何かありましたか?」

いつになく、元気のない彼女に、聞いてみた。
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