からめる小指  ~愛し合う思い~
「尋、何が心配?」

膝に乗せて逃げれない状況で、聞いてみる。

自分で作ったクッションを抱えて

「分からない。」と…………。

今にも泣き出しそうな声で応える千尋は

ホントに何が不安なのか、分からなそうだった。

「わかった、もう聞かない。
だけど、不安の元が分かったら俺に話して。」

「うん………。」と頷く彼女の手に、ローテーブルに置いていた

冬の定番に成りつつあるココアをのせた。

家、学校、俺との将来……………

悩みは、限りなくあるはずだ。

どれも先が見えず、モヤモヤしたものが不安となって

胸に住み着いているのだろう。

俺もそうだ。

千尋が卒業すること、千尋の家の事………大学生活。

千尋が、春から何処に住むのかも……分からない。

決まってないということは……

今から決めれる自由があると共に、決まってない不安もある。

話題を変えるように

「あれから、姉ちゃんはどう?
友達と楽しそうにしてる??」と聞いてみた。

しかし…………

どうやら、これが地雷だったらしい。

みるみる瞳に涙が浮かび

瞬きをすると、ポロリと一粒溢れた。
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