からめる小指  ~愛し合う思い~
「大学に………行っても良いの?」

「もちろん。
尋は何かやりたいことがある?」

俺の質問に

「国文科に進みたい。
小さい時から……読む事も書く事も大好きで………。
将来何になりたいとか……具体的にないから……言い出せなくて。
はぁちゃんみたいに……先生になりたいとかだと良いんだけど……
ただもう少し、勉強してみたいなぁって………。」

やりたいことを諦めさせなくて………良かった。

この子には、自己主張をする場がなかったんだろうな。

こうしたいと話す相手も、受け止める相手も。

友達も沢山いて、一見すると何の心配もない明るい女の子だけど

本当の彼女は……人付き合いが苦手なのかもしれない。

丸くおさめることが出来るのは………

自分が無理して、我慢してるからなんだろうな。

「尋、今夜マンションに来れる?」

俺の質問に頷く。

「だったら、鍵を預けとくから入ってご飯作っといてくれる?
随分、尋の手料理食べてないから栄養失調になりそう。」

俺の言葉に、久しぶりに笑顔を見せてくれる。

やっぱり、かなり無理をさせてたんだな。

分かりづらい彼女に苦笑して、鍵を預けた。
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