からめる小指  ~愛し合う思い~
「ただいま。」

玄関を開けると、良い匂いと一緒に

可愛い彼女が、顔を出す。

確かに、結婚は……魅力だよなぁ。

「ただいま」「お帰り」「いただきます」「ご馳走さま」

「おはよう」「おやすみ」「いってきます」

何気ない日常会話を、千尋としながら生活するのは……

幸せだと思う。

尋の気持ちを優先するけど………

俺がこれ程一緒にいたいと思うことが不思議だ。

「今夜は先生の大好きなエビフライだよ!
サラダは和風にしたよ。着替えて食べよう。」

制服の上にエプロンって……悪い大人になりそうだ。

「尋も着替えておいで。」

色んな意味で………結婚したいんだけど…………我慢だよなぁ。

樹って……

はぁちゃんといて、何にも思わないのか?

ちょっとくらい、手を出してるよなぁ?

我慢の限界が近づくと、樹カップルの動向が気になる。

手早く部屋着に着替えてキッチンに行くと

さっきより艶かしい千尋が現れた。

何でロンT?

ワンピースだと思えって??無理だよ……………。

挑発してるのかと疑いたくなるような姿に

イラッとしてたら………

「これ、はぁちゃんとお揃いなの。可愛い?」ってクルリとターン。

「うん、似合う。」

これ以外に何か言えるか??

まぁ、ホントに可愛いし。

気を取り直して

「お腹減った、食べよう。」って…

千尋と一緒の時は、飲まないからご飯を食べる。

そのせいか、最近体調が良い。

「ホウレン草のお味噌汁もどうぞ。」

おままごとのようなこの時間に、幸せを感じる。

「尋、ご飯を食べたら将来の話しをしよう。」

「…………うん…………でも、まだ具体的に決まってなくて……」

「だから相談するんだろ?
学校でするのは尋の進路。
でも今から話すのは、二人の将来。」

そう言うと、曇ってた顔が明るさを取り戻した。

こうやって、じっくり話しを聞く人間すらいなかったんだよなぁ。

「よし、先ずは食べよう。」

尋の用意してくれた温かいご飯を食べていると

自分もこの温もりを欲していたんだと気づく。
< 15 / 126 >

この作品をシェア

pagetop