からめる小指  ~愛し合う思い~
「はい、はぁちゃん。」

樹がはぁちゃんに渡しているのは、先日の遠足で買ったお土産。

ちりめん柄のミラーや小物入れ。ボールペンにキーホルダー。

髪飾りは小さい花が沢山散らばっている。

「じゃあ、俺も。」と俺も千尋に。

こちらは、髪の長い千尋に似合う金平糖やあめ玉の飾りのついたかんざしに

干菓子の飾りのキーホルダー。同じくちりめん柄のポーチにミラー。

あの時、どちらも戸惑って選ばないから……

手にとって「可愛い。」「キレイ!」と言ってたのを

片っ端から買った。

「可愛い彼女の為に買ったんだから喜んで。」

樹の言葉に、オズオズ受けとるはぁちゃん。

「尋、後ろ向いて。」

横を三つ編みして、後ろで纏めている所にかんざしを挿してみた。

「…………あんなイタズラして………。」

文句をいいながらも嬉しそうな二人。

「でも、いい思い出が出来たでしょ?
いつも淋しい思いをさせてるからね、愛想つかされちゃう前に
頑張っておかないとね」

樹の言葉に

「そんな事ないよ、淋しくないって言ったら……ウソになるけど
先生達が出来る限りで大切にしてくれてるのは、分かってるもん。」

「だから、私達を引き合わせて同じクラスにしてくれたんだもんね!
一人だったら……もっと淋しい思いをしてたかもしれないけど……
大丈夫だよ!
それにこうやって、時間を作ってくれるしね。」

「健気で可愛いお嬢様達だ………。
まぁ、遠足と1学期の分…………今日と明日はしっかり甘えなさい。」

今は樹の運転する車の中だ。

期末考査も終わり個人面談も終了して、後は夏休みを待つばかりの今日。

樹の前からの誘いにのって、樹の家の別荘に遊びに行くことになった。

受験勉強も学業も一生懸命頑張り

彼女として文句の1つも言いたいはずなのに、我慢している二人に

せめてもの罪滅ぼしだ。

昔は仲間達と集まりお邪魔していた………俺達にとっては懐かしい場所に

女の子を連れて行くのは………何となく恥ずかしいのだけど…………。

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