からめる小指  ~愛し合う思い~
あれこれ大騒ぎして、ようやく買い物が終わった。

途中、管理人の夫婦に差し入れるケーキも買って

いよいよ別荘地帯に突入する。

この辺りは、金持ちの家が避暑地にするには丁度良い環境で。

白樺が生え、うっそうとしない程度の森で

いかにもな………ザ、別荘!!って感じのところだ。

以前は、俺達の仲間がよく訪れ………

周りの人達からしたら、眉唾ものだったけど……

今はいかにもお嬢様な二人と、一見紳士に見える?俺達だから

ひんしゅくを買うことはないだろう。

車が到着すると、待ち構えていたかのように夫婦が顔を出し

荷物を運んでくれる。

「樹坊っちゃん、お待ちしてました。」

「「「お邪魔します。」」」

「坊っちゃんは止めてくれって言ってるのに…………」と

ブツブツ言う樹はほっておいて

「良いところですね。」

「今日と明日、宜しくお願いします。」

「これ、ちょっとですけど……。」

「まぁまぁ、お気遣い頂いて…………」とよくあるやり取りを行っている。

「ささ、どうぞ。」

夫婦に促され、室内を案内されて買って来た物も冷蔵庫に収めると

「それでは、明日のお昼過ぎに参ります。」というと

夫婦は自宅に帰って行った。
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