からめる小指  ~愛し合う思い~
「はぁちゃん、ゆっくりね!ゆっくり。」

キャベツのぶつ切りに、ゆっくりもないだろう。

隣では、同じく冷ややかな眼差しを向けながら

黙々と野菜を切る千尋。

「尋にも言おうか?『可愛い手を切らないでね』って。」

からかう俺をじっと見て

「以外に嬉しいかも!」と笑顔を見せる。

…………こんなんで、嬉しいのか?

以外な反応に、普段甘えさせてない自分を反省する。

「そう言えば、和君だけ『ちぃ』のこと『尋』って呼ぶよね?」

はぁちゃんの鋭い指摘は、聞こえなかったことにしてスルーしたのに

「はぁちゃん、言っちゃあダメだよ!
和君なりの『俺だけ特別アピール』なんだから。
みんながちぃちゃんって呼ぶと直ぐに、『尋』って呼び始めたんだよ。」

「ええっ!和君可愛い!!」

バカップル二人を睨んで玉ねぎを切っていると

反対隣の千尋の口元が、弧を描き始めた。

足で蹴ると

クスクス笑いがこだまする。

「あぁ!クソ。」

照れくささに怒ってみても、知らん顔で笑い続ける。

「ハイハイ、そうです。
彼氏が、自分だけ呼び方を変えて何が悪い!」

開き直って逆ギレするも………生暖かい目で見られる。

まだ24時間以上一緒だろう?………………先が思いやられる。
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