からめる小指  ~愛し合う思い~
コツコツコツ…………

6時をまわり………診察室の廊下は静かなものだ。

自分の靴音だけが響く。

どういう事だ??

転院の手続きをするまでもなく……後1週間で退院になると言われた。

それはいい。

当面の荷物は持って来たし、夏休みの今………

俺の自由は利きやすい。

退院する頃にはお盆前で、仕事も終わるからマンションに居させて

面倒を見ることも可能だ。

問題はそこではない。

ここで怪我をした事もおかしいが…………

手続きをしたのが………父親だということだ。

千尋が連絡するのは姉ちゃんのはずだ。

それなのに何故父親が………。

千尋を心配して飛んできたのならいい。

………でも、家族関係を見る限り………あり得ないだろう。

考えられるのは…………

千尋が何らかの事情で、父親の後を追って怪我をしたということだ。

何らか……………たぶん、女関係だろう。

俺に連絡してくれ!と思うが………

高校生の千尋が……一人でここまで来たのには………

余程の事だったんだろう。

俺は………まだ見ない千尋の父親に………

殺意すら感じる。
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