からめる小指  ~愛し合う思い~
俺は、今年クラス担任にならなかった。

別に昨年の仕事内容が悪くて、外された訳ではない。

生活指導を任されたのだ。

これには、1も2もなくOKした。

3年の彼女に指導することが多くなるからだ。

ウチの学校で、非行に走る生徒はいない。

主な仕事は、面接指導と進学相談なのだ。

千尋は、実家を出るつもりで………県外を希望していた。

今は俺と離れたくないと悩んでいるが………実家は出たいみたいだ。

樹のマンションを借りて、プチ家出はしているが

大学に行くと一人住まいになる。

俺はそれを期に、結婚か……それが無理なら同棲したいと思っている。

とは言っても………

生徒と教師で付き合っていたのは丸分かりで……

ご両親に殴られるのは覚悟しているが

彼女に悪い噂がたつことを考えると、慎重にならなくてはいけない。

将来のこともそうだ。

結婚して家に閉じ込めておくのは、彼女の成績から言っても勿体ない。

ひいき目抜きに見ても

頭が良く、人に気を配りしっかり者で……むしろ俺より人間は出来ている。

そんな彼女だから、可能性は無限で………

大学進学については、二人でじっくり話し合いたい。

それには、担任を持って他の生徒を育てるよりも

生活指導をして、ゆっくり出来る方がありがたかった。

その事をまだ知らない彼女は……

クラス担任から外されたと思ったのか、心配そうにこちらを見ている。

樹は……

俺に同情する自分の彼女とその親友の千尋を見て

これまた笑ってこちらを見ている。

悪い大人二人に囲われた、ウサギ2匹は……

可哀想だけど、もう手離してもらえないだろう。
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