からめる小指  ~愛し合う思い~
背中に枕を当てて座らせると、椅子を引いて話し始める。

「足は痛まないか?」

「…………うん。」

「他に欲しい物は?
明日、樹に持って来させる。」

「ううん、大丈夫………。」

……………………………………………………。

「「あの、」」

「なに?」

「あの……………ごめんなさい。」

「いや………謝らなくていい。」

「でも、黙って………心配かけて……………。」

「心配はした。
生きた心地がしなかった。
けど………
俺やはぁちゃんや樹に心配かけても………
ここに来ないといけなかったんだろう?
最初は話してくれないことを………怒った。
悲しいとも思った。
でも、千尋は人に迷惑をかけること心配をかけることを嫌うのに……
それでもそうしたってことは………
余程………大変な事だったんだろうなぁって思って……
今はただ無事でいてくれただけでいい。
それに………はぁちゃんに叩かれたしな。」

そう言うと、千尋の頬を撫でてやる。

「……………前にお父さんと一緒にいた女が…………産婦人科から出てきたの。
お腹は………ちょっと膨らんでた。」

「……………………。」

絶句するしかない。

「思わず着いて行くと……………
電車に乗って…………この街で降りたの。
写真を撮ろうとしたら…………階段を踏み外して………。
気づいたらここに来てたの。
連絡先を聞かれて、先生を頼ろうと思ったんだけど………
未成年だから、親じゃないとダメだって…………
お姉ちゃんに連絡して………親が来たみたい。
でも…………父親はここに来てないよ。支払いだけしたみたい。
当然だよね。
私が女を追ってきたことは気づいてるはずだから、顔を会わせられないよね。
お腹も大きいし。」

いつものように泣くこともなく、淡々と話す。
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