からめる小指  ~愛し合う思い~
「分かった、もういいよ。
痛かったなぁ。」

痛いのは足じゃない。

心だ。

抱き寄せて背中をポンポンと叩いて慰める。

「先生の声が聞きたかった。」

充電は……意識を無くした千尋に変わって連絡するために

警察が携帯を操作する間に切れたらしい。

浮気相手の妊娠に自分の怪我。

携帯の充電まで切れて…………

かなり心細かったはずだ。

「よく頑張ったなぁ。」

「うぅ。……………ヒッ…………」

俺の声をゆっくり聞いて…………

やっと泣くことができたみたいだ。

窓から見える星空は………

以前、生徒の千尋を受け入れる勇気が持てず………

泣かせてしまった時と同じものだ。

だけど………

今は、何があっても支えてやることができる。

あの日迷った時に見た空とは…………違う。

生徒に手を出したことを悩む日もあるが………

俺と千尋の人生には…………間違ってなかったと

今なら胸を張って言える。
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