からめる小指  ~愛し合う思い~
「キレイだったね。」

水族館を後にして車を走らせる俺の隣では………

小さなジンベイザメのキーホルダーを、2つ握る千尋が座っている。

『大きいのを買ってやる』と言う俺に

『だったら、2つ買って。お揃いね!』と可愛い提案をされた。

これまでの俺は、彼女とお揃いを持つなど……考えられない。

樹の笑い声が聞こえる気がする。

それでも今は、千尋の希望は何でも叶えてやりたくなるし

お揃いを買うことを喜んでいる俺がいる。

「尋は何処につける?
バレると困るから、尋が学校で使うなら……俺は他で使うよ。」

「大丈夫。使わないから!枕元に置くから。」

千尋は以外に幼く、ぬいぐるみは全て枕元に置いている。

そうして、うさぎだけは布団に入っている。

千尋に言わせると

『もしも、紐が外れて落ちたりすると可哀想だから。』と……

俺にとっては、ぬいぐるみはぬいぐるみ以外何でもないけど……

千尋は、擬人化して見えるのだろう。

小さい時から、沢山の淋しさを抱えていた千尋らしい。
< 57 / 126 >

この作品をシェア

pagetop