からめる小指  ~愛し合う思い~
「わぁ!!何々なに!!
スッゴイ!!!!」

立ち上がらんばかりの興奮で騒いでいるのは………古宇利大橋。

数年前、テレビの旅番組で見て俺も見たいと思っていたところだ。

しょっちゅう沖縄に行く、ボンボン樹にチェックを入れて

是非二人で来たいと思い

旅のプランを決めないと言いつつ………

ここだけはコッソリ入れていた。

天気にも恵まれ、橋の両脇に広がったコバルトブルーの海は………

まさに圧巻だ。

「沖縄って感じだねぇ~!」

たしか京都でも似たような発言をしていたが………

お金に恵まれながらも、家族旅行に縁のなかった千尋には

テレビや雑誌で見た風景と……現実が重なっての言葉なのだろう。

「先生、ありがとう。
これで…………年末まで頑張れるよ。」

えっ??

いつ切り出そうかと……密かに悩んでいた会話。

帰るまでには伝えないといけないと思っていたけど……

楽しむ千尋に、水を差すようで…………困っていた。

「空港で飛行機を待つときに、はぁちゃんから電話がきたの。
『先生達………すっごく悩んでるよ。』って。
『私達のことを大切に考えてくれてるからだよね』って二人で話したんだ。
はぁちゃんは、一足早く北海道で聞いて………
先生が言うタイミングで悩んでいたら私から言ったら良いよって
教えてくれたの。
樹先生が『遥を守るためなら、何だってしようと思ってきたけど……
今回は、こんな方法しか浮かばなかった』って謝ったって………。
遥………嬉しいって泣いてた。
『バレることじゃなくて………私の将来を守るためだよね』って。
先生も同じ考えだから………
『ちぃが自分から話を切り出した方がいいよ』って言われて………
いつ話そうかなぁって考えてたの。」

「……………尋、ちょっと歩こうか?」

橋を渡りきったところに、駐車場があり遊歩道が続いていた。

このキレイな場所で、俺は思い出を作ろうと決めた。
< 58 / 126 >

この作品をシェア

pagetop