からめる小指  ~愛し合う思い~
「尋、帰ったよ~」

仕事を終えて、帰ってシャワーを済ませてからメールを入れた。

いつもだと喜んで、飛んで来るのに

5分待っても玄関のドアが開く音がしない。

心配になって……鍵を使って行ってみた。

玄関を覗くと真っ暗な部屋。

一人で泣いてる時の状態だ。

何があった??

昼間にからかい過ぎたかと心配になる。

「尋~」

「千尋ちゃん。」

声をかけるが返事がない。

リビングを覗くが、人の気配がないため……寝室に行く。

「尋?」

ベットに近づいても、やっぱりいない。

あれっ?

今日は来てないのか?

実家に居るのかと思い携帯を鳴らすと、リビングから着信音が聞こえる。

………来てる。

トイレかシャワー?

一応確認しようと、浴室に行きかけたキッチンで

すすり泣く声が聞こえた。

「尋??」

テーブルに近づくと

テーブルの下で、体操座りして泣く彼女がいた。

「どうした?」

一人で泣くなと約束したのに……………。

しゃがんで、同じ目線になり話しかけてみる。

「お母さんが………男といた。」

どうやら、ここに来る前に見かけたようだ。

「そっかぁ…………ヨシヨシ。」

取り合えず、冷たい床から立ち上がらせ抱き上げる。

「制服も着替えずに……。」

幼児のように甘える尋に、夜はまだまだ冷えるからと説得して

着替えだけするように言う。

ホントはこのまま甘えさせてやりたいが……

泣きつかれて眠ってしまうのが、いつものパターンなのだ。

さすがに、女子高生の着替えを勝手にする訳にいかないから。

普段着に着替えると直ぐ俺の元に帰ってきた。

「ここにおいで。」

膝を叩くと、ストンと膝の上に座る。

ここまで甘える時は、かなり参っている。

ヤバいかな?

横抱きにすると、俺の肩に頭を預けて泣き始めた。
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