からめる小指  ~愛し合う思い~
結局、明け方まで話していた俺達は

楽しみにしていたバイキングのために、大急ぎで仕度する羽目になった。

まぁ、千尋が満足いくほど食べたからいいけど。

「せっかくのバイキングに、コーヒーとヨーグルトとパン1つって
ありえない!」と怒っていたが

フレンチトーストにオムレツ、サラダにサーモンのマリネ

チキンにウインナーにデザートとフルーツ。

そこに何故か茶碗蒸しと漬物とお味噌汁という、和食まで飛び出して

ニッコリ笑って完食する千尋の方が、俺には信じれない。

以前、俺の部屋で生活していた頃

ほとんど食べてなかったから……かなりの少食かと心配したが

今では、スゴイ食欲に心配しないといけない。

「尋が俺の分も食べて、基を取ってくれるからいいんじゃない?」

俺の冗談にも

「良いパートナーだね。」と昨日の落ち込みが嘘のようだ。

もちろん、急に元気になるとは思わない。

せっかくの旅行に無理をしているはずだ。

でも、千尋がそれで楽しもうとしてくれるのなら

俺は気づかないふりをして、付き合って楽しむのだ。

「パートナーのお嬢さん、そろそろご飯を終えて
海中道路に行ってみませんか?
ぜんざいも食べたいなら、お腹を空かせておかないと。」

「デザートは別腹だから、心配ないけど
水着を買ってプールに入るなら、控えておかないとね。」

出た!

女の子のあるある………『デザートは別腹。』

腹は1つだから、絶対に別腹はありえないのに。

夏のぜんざいは、未だに納得いかないが………

ぜんざいとキレイな海を求めて、ホテルを後にした。
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