からめる小指  ~愛し合う思い~
「失礼します。」

ちょこんと顔を覗かせた千尋に、無言で鍵をかけるよう指示する。

カチャ。

二人の空間が出来るとホッとため息が漏れる。

今朝、部活の為に顔を合わせることがなく

そのまま1日が過ぎたため、そわそわして過ごした。

担任だったら………と思う自分が情けないけど……

顔を見るまでは、心配で仕方がなかった。

「先生、推薦のお話しって何ですか?」

分かってて意地の悪いからかいをする千尋。

思わず睨むと

「学校でそんな顔をしたらダメですよ。」と笑われた。

取りあえず笑顔が見れ安心する俺は、かなりの重症だ。

いつものカルピスを差し出すと

「学校で彼氏は、止めるんじゃなかったですか?」と痛いところを突いてくる。

そのつもりだし、そうしないといけないことも分かってる。

だから…………沖縄まで行って話し、指輪を渡して約束した。

今だってマズイと思ってる。

……………………………でも、心配なんだ。

千尋が悪い。

頼らない千尋が悪いんだ。

素直に泣いて甘えてくれたら……………心配だけど安心出来る。

でも、今みたいに哀しみを隠して笑顔でいられると………

不安で仕方がないんだ。

強がる千尋が悪い!
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