からめる小指  ~愛し合う思い~
「はぁちゃんは、どうするの?」

急に話を振られて戸惑いながら

「私は……ここが自宅だから……
今までと何も変わらないかなぁ。
変わるのは、学校くらいだもん。」と。

「そっかぁ。」

一人で納得する千尋に

「ちょっとちぃちゃん。簡単に納得しないでよぅ~」と樹の声が飛ぶ。

3人揃って樹を見ると

「俺、ここを出るから。」

「「「えっ!ここって……このマンション??」」」

思わず3人揃ってハモる程驚くと………

「うん、ここじゃなくても良いしね。
はぁちゃんと付き合うなら、学校から離れた方が便利でしょう?
通い妻??みたいな!!
それで、はぁちゃんが家を出ても大丈夫になったら
隣に住むって………良くない??
もちろん、二部屋キープしとくから……泊まりに来ても隣が空いてるからね。
お金持ちの彼氏って良いでしょう。」

そうだよなぁ~

家族と仲が良くない千尋だから、当たり前のように一緒に居れるけど

普通は、家族を気にしないといけないんだよな。

卒業して樹と仲良くしてたら、家族は気にするもんな。

「だったら………夜にコッソリ会ったり出来なくなるの?」

寂しがるはぁちゃんに

「その代わり、ちぃちゃんにアリバイ工作してもらったら
お泊まりだって夢じゃないよ!
どう??良いでしょう?」って。

距離は少し遠くなるが、二人で過ごす時間は増える。

……………樹らしい安心の与えかただ。

今のままだと、はぁちゃんのストレスがスゴく多いからなぁ。

家族と鉢合わせに怯えて、ビクビクと…………。

「いっちゃん、ありがとう………。」

「淋しくなったら、いつでも電話しておいで。
時間が許す限り飛んでいくから。」

樹の言葉にクスクス笑って

「先生と同じ事言ってる。
はぁちゃん…………樹先生は、言葉通り飛んで来てくれるから安心して良いよ。」と。

俺の愛情は、ちゃんと伝わってるみたいだ。
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