からめる小指  ~愛し合う思い~
文化祭も無事に終わり………

ちょうど一年の今日は………二人きりで過ごしてる。

「引き続きは無事に終わった?」

「うん。
大川先生に『今年は、ちゃんといるな』って………
嫌味を言われたけどね。」

そう、去年の後夜祭は

ここで告白して……

キスをして………

新副部長は俺といて………不在だった。

悪い教師だ。

「あれから一年だね。
『好きでいさせてください。』って……
片思いの許しをもらいに告白したのに…………まさかの彼氏だもんね。」

「ちょうど一年の記念に、キスしとく?」

照れ隠しに、去年は出来なかったディープなキスをする。

「ちょっと先生、ここ………学校だよ!」

怒る千尋に

「家なら良いの?」とからかうと、益々怒られた。

「もうしないからおいで。」

距離をとる千尋を呼んで

一年前より親密に抱き寄せて、膝の間に座らせる。

去年もこうやって、上から燃える炎を見てたな。

「来年は、一人だね。
まさか、新しい子と…………なんてないよね?」

「アホ!
ここは千尋の席でしょ?変な不安を作らないの。
それより、クリスマスまで………本気で相手できないけど大丈夫か?
メールや電話は……」

心配する俺に

「大丈夫です。
先生って……以外に過保護だよね?」

「千尋限定でな。」

「もう、直ぐそうやって茶化す~」

別に茶化しても、からかってもないんだけどな。

ホントに………千尋だけ過保護だから。

手元に居ないと心配になる。

「電話は直ぐに、繋がるようにしてくれてるんだよね!
心配しなくても大丈夫だよ。
この間の放送でも言ったけど………
頼って甘えることを、覚えたもん。」

生意気な千尋の鼻をつまんでやる。

「痛いよぅ!」

文句を言って尖らせた口に、もう一度かすめるキス。

「これ………去年と一緒。」

「初めてなのに、覚えてたんだ。」

からかう俺に

「初めてだから覚えてるの!」と。

確かにそうだ。
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