からめる小指  ~愛し合う思い~
「お邪魔しまぁ~す。」

玄関を開けると、エプロン姿の千尋が少しだけ体を覗かせて

「今、クリームコロッケを揚げてるから
先生、上がって寛いでて。」と新婚夫婦のような会話を。

さすがに、『ご飯にする?お風呂にする?それとも………』とは言わないか。

一人ニヤニヤしながらリビングに入ると

「「やっほ~」」とお邪魔虫が二人。

なんだよぅ~こいつらも一緒かぁ。

久しぶりの二人きりに期待してた分、ガッカリ度は半端ない。

「和君、元気ないね~」

「はぁちゃん、あれはエッチな事を考えてた男の姿だよ。
危ないから、近寄らないでね!」

バカップルのうるさいからかいに、ウンザリしてたら

「お待ちどうさま!」と、笑顔の千尋が

揚げたてのクリームコロッケを持ってやって来た。

あぁ~癒される。

「はい、先生のお皿。
熱いから気をつけて食べてね。」

千尋の優しさに満たされていると

「和君って、スッカリちぃに手なずけられてるよね?」

「ちぃちゃん、猛獣使い!!」

何とでも言ってくれ。

俺は、俺のために作ってくれたコロッケを堪能する。

そう、これは俺のためのコロッケなんだ。

俺の好物だから。

「アチッ!」

慌てて食べた俺は、お約束のようにヤケドをする。

「もぅ~、ゆっくりって言ったのに。」

ブツブツ言うわりに、直ぐに冷たいお茶を出してくれる。

「ホント、ちぃちゃんは良い奥さんになるね。」

樹の言葉に

「ちぃちゃんは??
いっちゃん………ヒドイ!」と拗ねるはぁちゃん。

はぁ~っ。

ホント、この二人が一緒だと落ち着かない。
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