からめる小指  ~愛し合う思い~
結局、11月は殆んど一緒に過ごすことがなかった。

学校で見かける千尋は、何にも変わることが無くて

むしろ楽しそうにイキイキしている。



12月に入り、ようやく少し落ち着きを取り戻し

早く帰ることも出来るようになった俺は

電気のついてない、隣の部屋のベルを鳴らした。

やはりいないか…………。

気になってその足で千尋の家を確認しに行くが

ここもやはり電気は点いておらず、静かだった。

何処にいる??

はぁちゃんに連絡を入れても…………こちらも出ず

『二人一緒なら良いか』とも思ったが……

時間が、9時を回っていたから気になった。

今時の高校生が、9時に帰ってないことは珍しくない。

だけど、受験も終わり塾に行く必要もない二人が

遅くまで帰ってないというのは……やっぱりおかしい。

まして………メールや電話を取らないのも。

直ぐに樹に連絡を入れてみるが、樹も二人の行き先を知らないという。

マンションに戻り、樹と合流して二人を待つことにした。

「いつからはぁちゃんと会ってない?」

樹も忙しく、11月に入ってからは会ってないという。

電話やメールもしてくるし、二人で遊んでると言うから

あまり心配をしていなかったらしいけど……

さすがに、女子高生が遊んで帰るには遅すぎる。

『ごめんね。お風呂に入ってて返事が遅くなっちゃった。
髪を乾かしたら、メールするね。』

樹の元にはぁちゃんからメールが入る。

えっ??はぁちゃんと千尋は、一緒にいないのか??

はぁちゃんは、家族と一緒に住んでいるから確認が出来ない。

千尋一人で何処にいる??

一気に不安になった時

『先生、ごめんね。実家にいます。
お風呂に入っていたから……もう少しして電話するね。』と

千尋から同じようなメールが届く。

樹と顔を見合わせ、ウソだと確認する。

さっき実家に行ったが、真っ暗だった。

何故二人揃って、ウソをつく??

疲れも吹き飛び、真顔になった樹と帰りを待つことにした。
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