からめる小指  ~愛し合う思い~
千尋の部屋に入り

コーヒーを入れに行こうとする千尋を呼び止めて

二人を座らせる。

「……………………………………。」

「……………………………………。」

無言の二人に痺れを切らせて

「…………………で?何処に行ってたの。」と

いつもは出さない声で尋ねる樹。

元々、俺と一緒にヤンチャな時代を過ごしていたんだから……

すごんで怖い声を出すのは、お手のものだ。

ただ今は、すごんで出した訳ではない。

怒りが、いつも冷静な樹を上回ったんだろう。

その証拠にイライラしたら出る、指でリズムをとる癖が出ている。

これが急かされているようで、不気味に思っていることを

樹は気づいていない。

グスグス泣き始める二人。

可哀想だけど、こうなった樹を止められない。

「ねぇ~はぁちゃん。
どこのお風呂に入ってたの?」

ネチネチいぶるやり方は、昔のままだ。

「ごめんなさい。
樹先生に、ウソをついてました。」

「私も…………」

はぁちゃんの口から、学校以外で聞く『樹先生』は初めてだ。

これ以上、樹に話させると二人がトラウマになりそうだから

「ウソって………どうして?
何処に行っていたの?」と、俺が続いて質問をする。
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