からめる小指  ~愛し合う思い~
あれから俺は………色々考えてる。

正直、今回の事はショックだった。

別にバイトしたって、内緒にしてたって………

心配はしたけど、今は怒ってない。

それよりも、千尋の言った…………

『みんながしている事と同じような事がしてみたかった。』という言葉だ。

確かに、自分たちの高校生の頃を考えても

もっと自由でのびのびしていた。

俺や樹と付き合う事で、内緒にしたり頑張ったりすることが

多くなってるはずだ。

今回のバイトだって、今時珍しいことじゃない。

もしかすると、バイト先で恋をして一緒に帰って来ることだってある。

バイトだけじゃなくて……

彼氏と帰りにデートして、カラオケに行ったり

ショッピングをしてるかもしれない。

俺達に出会って、恋をして…………

普通の高校生が経験してることを、幾つも我慢してきたんじゃないだろうか?

そう思うと………怖くなってきた。

おまけに……………

はぁちゃんは、ウチの大学だからまだ安心だけど………

千尋は何も知らないまま、他の学校の子供たちと一緒に過ごすことになる。

初めてを沢山経験していく。

合コンだってするだろう。

そこで同じ年頃の男の子に出会っても………

ときめく前に、俺との将来の約束がチラついて

ブレーキをかけてしまうってこともある。

俺が重荷になって………

ホントだったら出来る経験を潰してしまうかもしれない。

千尋の不安を取り除く為の、指輪だし将来の約束だ。

もちろん、俺はこのまま一緒になりたいと思っているけど……

高校を卒業したばかりの千尋を、約束で縛っていいのか??

俺には分からなくなってきた………………。
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