桜の舞い散る頃
リビングに戻って着替えを沙耶に渡す。
「高梨君、一晩看病してくれてありがとう。着替えは僕のですまないが、シャワーを使って下さい。」
「ありがとうございます。すいません。気を使っていただいて、お借りします。」
沙耶は、うつむきながら着替えを受け取った。
「バスルーム、お借りします。室長はお粥を食べて下さい。」
着替えを持ち、鞄からメイクバックとポーチを取り出し、バスルームへ向かった。洗面所に入り、メイクバックから、クレンジングシートを出し化粧を落とす。ポーチには、繁忙期に大学時代からの友人で、同期でもある冴木瑞希(さえきみずき)の所に、お泊まりさせて貰うこともあるので、下着が常時入っている。まさか、こんな所で役に立つとは‥‥‥。シーツ類と一緒に脱いだ服を洗濯機に入れて、スイッチを押す。さすがに下着は、空いたポーチに入れる。バスルームに入り、シャワーを浴びる。はぁ~、生き返る~!目が覚める~!さっぱりする~!
手早く洗い、バスタオルを拝借し、身体と髪を拭く。室長からお借りしたシャツを着てハーフパンツを履く。‥‥‥私が履くとハーフじゃないし!って、仕方がないか、身長が違いすぎる‥‥‥。はぁ~
落ち込んでる時じゃない、髪を手早く乾かし、クリップで頭の後ろに1つにまとめて留める。脱衣かごの中にバスタオルを入れ、床が汚れてないか、忘れ物が無いか確認する。
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