桜の舞い散る頃
やっぱりと言うか、思った通りの反応に苦笑してしまう。
「高梨さん、君は自己評価が低すぎる。うちの課だけでも、君と付き合いたいと思っている男は沢山いるよ。そこまでの行動に出れなくても、食事だけでも一緒にと思っている。思い当たる事は?」
えっ。思い当たる事‥‥
「そう言われでも‥‥。あ~、う~ん、食事ー。ん?田中さん!残業がなかった時に言われた!って、あれ?冗談じゃなかったの。」
仕事終わりに、晩飯でもどう?って言われたけど、冗談だと思って、せっかく定時で終わったんですから、彼女さんとどうぞ~って笑って別れた。
「君は、無自覚・天然だよね。自分が人から好意を寄せられている事に気が付かない。違うかな。」
「‥‥違わないと思います。でもっ!私!美人でも無いし、背も高く無いし、スタイルだって」
「はいはい。それだから無自覚だって言ってるの。」
沙耶の話は立花に遮られた。
「君は、笑顔がステキな美人だよ。身長だって男にとっては、抱きしめるのにはちょうど良い高さだ。スタイルに関しては人それぞれだけど、俺は痩せている女は好みじゃない。一緒に食事をしても楽しくないからね。」
社内で評判のイケメンさんに、ここまで言われると恥ずかしくて顔が赤くなる。思わず顔を手で覆ってうつむいてしまう。
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