桜の舞い散る頃
ポンと音が鳴り、目的の階に止まった。彼女に支えてもらいながら部屋の鍵を開け中に入る。室長を支えながら部屋に入り、廊下の長さに驚く。靴を脱ぎ廊下の先にあるドアを開ける。
ホォー、声にならない。心の中で感嘆のため息をつく。まるでショールームの様な、落ち着きのある内装に目を奪われる。
「散らかしいて申し訳ない。最近忙し過ぎて片付けもままならなくてね。」
室長の声にハッとして横を見る。
「いいえ。散らかってなどいません。室長は、楽な服に着替えて熱を計って下さい。私は、飲み物を買いにコンビニまで行って来ますので。」
室長をリビングのソファーに座らせ、鞄を持ち玄関に向かった。
「高梨君、部屋の鍵は靴箱の横にあるから、持って出てくれるかな。」
後ろから声が追いかけて来る。
「解りました。ありがとうございます。お借りします。」
玄関を出てエレベーターに向かい、コンビニで買うものを頭の中でまとめる。あー、室長に断って冷蔵庫の中に、何があるのか確認すれば良かった。とりあえずは、消化の良いものが身体に優しいから、お粥か雑炊かうどんかなぁ。さすがにお米はあるわよね。
近くにあったコンビニで、食材とスポーツドリンク、ヨーグルトなんかを買った。
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