短編集 【善人のフリした悪人】


「・・・・・・・・・あれ?」


『起きたか三島タクマ君。』


「・・・ここは・・?
おじさん誰ですか?」


目を覚ますと気を失った自宅トイレでは無く、

辺りが真っ白に包まれる大きな部屋に俺はいた。


目の前には・・・知らないおじさんが1人。



『私の事は天地と呼んでくれ。』


「アマチさん・・。はい。」


『三島君。
ここがどういう場所かを説明する前に、
君自身どこまで記憶している?』


「え~っと・・・家でお酒飲みながら1人焼き肉してて、

大好物のレバーを焼いて食べようとしたら、酔っ払ってたのかほぼ“生”の状態で食べちゃったらしく、

メチャクチャお腹壊して・・・嘔吐も止まらず・・・・。」


『そして君はトイレでもがき苦しむ間に、気を失った。』


「・・・だと思います。」


『君は生レバーを食べたことによる食中毒に気を取られていたようだが、

この時期、密室のトイレに長時間いたことで、熱中症にもなっていたんだ。』


「・・・あ!確かにめっちゃ暑くて・・・でもお尻からも口からも、色々出まくってたから水飲みにも行けず・・・。」


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