短編集 【善人のフリした悪人】
『不幸な事故だったね。』
「ひょっとしてここは病院ですか?
天地さんはお医者さん?」
『落ち着いて聞いて下さい。』
天地さんは右手を俺の右肩にポンと置いた。
『君は死んだ。』
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「は!?!?!?!?」
『ここは、君たち人間で言うと“あの世”だ。』
「ま、ままま待って下さいよ。
こうやって普通に呼吸してるし、
体も自由に動かせるじゃないですか!?」
『信じられない気持ちも分かるが、事実は事実だ。
客観的に考えてみなさい。
一人暮らしをしていて、
1人焼き肉で食中毒。
暑いトイレに籠もって脱水症状+熱中症。
他に誰もいないこの絶望的な状況からどうやって助かると思う?』