短編集 【善人のフリした悪人】
どの鬼よりも速く、
紫鬼は風の如く走りました。
「このままではあの赤子が見つかってしまう。
自分はどうなってもいい。
だけど、あの赤子だけは・・・
絶対に殺させない・・・!」
自分の家へと向かいながら、
紫鬼はある決断をしていました。
ようやく心を通わせはじめた赤子。
ようやく見つけた、鬼と人間の共存への光。
「この赤子は、
必ず鬼と人間の未来を変えてくれる。
だから・・・どんな手を使ってでも逃がす。」