短編集 【善人のフリした悪人】
紫鬼が自分の家へとたどり着いた時には、
別れの悲しさ、
未来への希望、
様々な感情が溢れ、
顔は涙でくしゃくしゃになっていました。
「ええか。
心の優しい人間に拾われるんだぞ。」
「キャッキャッ。」
初めて自分に見せてくれた笑顔を心に刻み、
紫鬼は赤子を鬼ヶ島で育つ“桃”という果実に入れて、海へと放ちました。
「さらばだ・・息子よ・・・。」
紫鬼は涙を拭い、
鬼の仲間達のもとに戻りました。
第1章 完