短編集 【善人のフリした悪人】
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桃太郎はお爺さんとお婆さんの愛情に育まれ、すくすくと育っていきました。
15歳を過ぎる頃には逞しく、
そして剣術の腕は村一番・・この界隈一番との噂がのぼるほどの才能でした。
そんな桃太郎は物心ついた頃から、
ある事を決意していました。
時たま村を襲う鬼。
村の人達が一生懸命育てた作物や牛や豚を我が物顔で奪う鬼。
幼かった頃の桃太郎は、鬼が襲来すると、
いつもお爺さんとお婆さんに匿われ、
家の床の下に隠されていました。
その度に、無力な自分への怒り、
鬼達の傍若無人ぶりをただ見ることしか出来ない悔しさ、
鬼への憎しみが増していきました。