短編集 【善人のフリした悪人】
「・・・・・・・・。」
桃太郎は腰に付けていたきび団子を1つ、犬の足下に落としました。
「分かった・・。
このきび団子と引き替えに・・お前の命は私が預かる。
共に行こうぞ、鬼ヶ島へ。」
うむと頷いた犬はきび団子を口の中に入れると、
森の中から顔を出していた動物たちを見渡しました。
「・・・必ず戻る・・。」
仲間達に別れを告げた犬、
そして桃太郎は再び森の中を歩き出しました。