短編集 【善人のフリした悪人】
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「豪鬼様。大変でございます。」
鬼族の頂点に立つ鬼、
豪鬼様のお屋敷に、使いの老鬼がやって来ました。
数多くの女鬼達と一緒に寝ていた豪鬼様がドスンと音を立て起き上がります。
「なんだ騒がしい。
まだ昼ではないか。」
「大変でございます豪鬼様。
鬼ヶ島に人間が上陸したようでございます。」
「・・・なんだと?」
“人間”という言葉を聞き、
豪鬼様が寝処から表へと出てきました。
「人間が乗り込んできたのか?何人だ?」
「それが・・1人とのことです。」
「・・・・グハハハハハハ!!!」
騒音にも似た笑い声をあげ、一緒に寝ていた女鬼達も1匹、また1匹と目を覚ましました。