短編集 【善人のフリした悪人】
紫鬼は涙を流しながら最後に笑みを浮かべると、
桃太郎が振りかざした刀を受け入れました。
全身に痛みが走り、
意識が遠のいていく紫鬼。
最後の力を振り絞り首を少しだけ上に上げると、
家を出て行く桃太郎の後ろ姿を見ました。
「・・大・・きく・・・なった・・な・・
・・・・・息・・・子・・・よ・・・。」
最後にそう呟き、
紫鬼は静かに息を引き取りました。
桃太郎 終
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