短編集 【善人のフリした悪人】
「お前酒くせぇな。」
思わずムサシがそう女に伝えるほど、見た目も雰囲気も一発で“酔っ払い”ということが分かった。
「えーいいじゃん。
細かいこと言わないで乗せてってよ~。
っていうかおじさん誰?」
「・・・・サンタだ。
いいから早くどけ。」
「・・・サンタさん!?」
“サンタ”という言葉を聞き、
酔っ払い女のテンションが一段上がった。
「じゃあプレゼントちょーだい!」
「悪いな。
俺達サンタ協会は16歳未満を“子供”と定義してプレゼントを贈ってる。
1人例外の女の子がいるが・・
お前どう見ても16歳以上だろ。
いくつだ?」
「・・・・・・・。」
途端に酔っ払い女は、
軽蔑の眼差しをムサシに向ける。
「女に年齢聞くなんて失礼な人~。
どうせ私はアラサーですよ。」
「・・誰もアラサーなんて一言も言ってない。」