短編集 【善人のフリした悪人】
「・・・・・ん?」
「・・・スッ・・・スッ・・・。」
「なんだ?泣いてんのか?」
首を横に振る酔っ払い女だったが、
その肩は震え、
その手は目頭を押さえている。
「イブがこんなに素敵な日だって感じるの・・久し振りだから・・。」
「ちったぁ子供を見習え。
お前ら大人は、
こんな日も遅くまで仕事したり、
やれ独りだ,やれデートだって、
見てるこっちが息苦しくなる。
イブってのは本来子供も大人もみんなが幸せになる日なんだよ。」
「・・・既婚者なの・・・。」
「・・あ?」
「私の彼氏ね・・
奥さんと子供がいるんだ・・。」
「・・・・・・・・。」