短編集 【善人のフリした悪人】
風が吹き、ムサシの顔に前から流れてきた涙がついた。
「どれだけ優しい言葉をかけてくれても・・・
どれだけ私の事抱きしめてくれても・・・・
12月24日と25日は、
私が絶対に手の届かない場所に彼はいるの・・・。」
「・・・・・。」
「・・・・ダサいでしょ?
だからって独りで呑んだくれて・・・。
幸せになれるはずないって分かってるのに、
ずっと別れられなくて、気付けば30手前まで来ちゃった女なんて。」
「・・・バーカ。
てめぇで決めつけんなよ。」
「・・・・・?」
「幸せになれるはずないって、
てめぇで決めつけんなよ。」