短編集 【善人のフリした悪人】
「・・・・・。」
豪鬼様のお屋敷に着くと、
腕組みをして目を閉じている豪鬼様。
その前に正座する鬼ヶ島中の鬼がありました。
紫鬼も最後尾に正座をして豪鬼様を見つめます。
「揃ったか。」
豪鬼様はゆっくりと閉じていた目を開けました。
「ここ最近、この島に人間の匂いがする。
俺達の嫌いな、あの匂いだ。」
豪鬼様の表情には怒りが混じっていました。
「他の鬼は騙せても俺は騙せない。
この島に、人間がいる。」
豪鬼様の言葉に、正座をして聞いていた子分の鬼達が顔を見合わせます。
「親分、どこに隠れてやがるんですかい!」
「人間ごときがこの島にいるだと!?」
「見つけ出して串刺しにしましょう!」