ハイド・アンド・シーク
─────と、その時だった。
『ピンポーン』
場違いな、明るい電子音が部屋に響いて私たちは動きを止めた。
こんな遅い時間に、誰がなんの用で?
ピンポンダッシュ……じゃないよね?
私の上に覆いかぶさっていた主任も身体を起こし、視線を宙にさ迷わせて誰が来たのかと警戒している。
「あの……、誰かお客さんが来る予定になってたとか?」
「ううん、誰も」
私の問いかけに首を振った彼は、ベッドから降りた。
その間にも、何回かピンポーン、ピンポーン、と鳴っている。
すると、外から複数の笑い声が聞こえた。
私と主任は顔を見合わせる。
私の方は、完全に恐怖心いっぱいの顔。彼の方は、誰が来たのか察した顔。
「居留守つかっても、たぶんバレてるな」
頭をくしゃくしゃとかいた彼は、悪趣味なやつらめ、とつぶやいて寝室を出て玄関へ向かったようだった。
誰かが来るのに心当たりがあったということ?
複数いるのだから、元カノとかそんな存在ではないようだけど。
いそいそとはだけたブラウスを直していると、玄関の方から主任の声、そして訪問者たちの声が聞こえた。