キスからはじまる
「…………あれ、」
学校の正門を通りすぎるころ、 鞄のなかにペンケースがないことに気がついた。
机のなかに、置いてきちゃったのかも。
シャーペンと消しゴムくらいは、家にもある。
だけど、中間テストの訂正ノートで使うさまざまな色のボールペンは、家にまで取りそろえていない。
訂正ノートさっさと終わらせたいし、ちょうど学校の前にいるから、取りに行こう。
そう思って、わたしは、正門のなかへと引き込まれるように入っていった。
校舎に足を踏み入れ、階段をのぼっていく。
わたしのクラスである1組は、2階にある。
教室の前に到着し、扉を開ける。
自分の机のなかを見てみると…やっぱり、置き忘れていたペンケース。
よかった、あった。
もしなかったら、ほかに置き忘れた場所に心当たりがなかったよ。